目 次 Ⅰ 序 言 ・・・ 1
Ⅱ 防犯の手引き ・・・ 1
1 防犯の基本的な心構え ・・・ 1
2 当地における犯罪発生状況 ・・・ 2
3 一般的留意事項 ・・・ 4
4 住宅及び家族の安全対策 ・・・ 4
5 外出時の安全対策 ・・・ 6
6 犯罪別具体的注意事項 ・・・ 7
7 交通事情と交通事故対策 ・・・11
8 緊急時の連絡先 ・・・13
Ⅲ 緊急事態対処マニュアル ・・・14
1 平素の心構え・準備 ・・・14
2 一時避難場所及び緊急時避難先 ・・・14
3 緊急時の行動 ・・・15
Ⅳ おわりに ・・・16
【添付資料】
○ 緊急事態に備えてのチェックリスト
Ⅰ 序言
本安全の手引きは、在留邦人の皆様がエチオピアで日常生活を営む上で「自分の身は自分で守る」ための一助となるよう、一般犯罪(凶悪犯罪を含む)、交通事故等を防止することを目的として作成したものです。
また、当国において自然災害、政変、暴動等の緊急事態発生時に在留邦人の皆様が的確、迅速に対応できるように緊急時の行動について必要な諸点をまとめております。
在留邦人の皆様に本手引きを安全対策の一助として参考にして頂ければ幸いです。
ここ数年、国際テロ事件をはじめ海外安全を取り巻く環境は、更に厳しくなっています。ここエチオピアにおいては、過去に爆発事件が散発的に発生したことや、テロの脅威のある周辺各国の影響を受けやすいため十分注意が必要です。また、一般犯罪においても、外国人等の富裕層をターゲットにした犯罪が年々増加しており、邦人の被害も見受けられます。
皆様にあっては、海外において生活する上で「自分の身は自分で守る。」ということと当国について十分な知識を身に付けることが、海外における安全な生活を送ることができる重要な要素であるといえます。
Ⅱ 防犯の手引き
1 防犯の基本的な心構え
○ 自分(家族)の身は自分で守る
外国で生活することそのものがリスクを負っていることを自覚し、「自分(家族)の身は自分で守る」ことを念頭に置いて下さい。
○ 日本での常識、日本人の常識を取り払う
エチオピアに限らず、外国においては、拳銃やナイフを日常的に所持している国民も多く見受けられ、時として、それらが犯罪の用具として使用されることを忘れないで下さい。
当地では日本人を含め、外国人は一般常識として「金持ち」ということが浸透しています。このため、常に多額の現金を所持していると認識されていますので、犯罪者の格好のターゲットになる危険性が高いと自覚しておくことも必要です。
○ 生命の安全を第一に考える
万一、ピストルやナイフを突きつけられ犯人から金品の要求があった場合、生命の安全を第一に考え、抵抗しないことが重要です。犯人に抵抗した外国人が死傷する事案も発生しています。そのような現場に遭遇してしまったら、冷静に犯人の要求に従い現金や所持品を渡して下さい。
○ 日常生活でも計画を立てて行動する。
休日等で出かける場合、目的地の治安情勢や経由路線の安全情報等を把握しておくことが必要です。また、職場の同僚や家族等には行動計画の概要、連絡先等を知らせておくことが必要です。
2 当地における犯罪発生状況
当地の犯罪は、殺人、強盗、窃盗、詐欺、誘拐、器物損壊等があり、それらの手口も多種多様化するとともに、私達の身近でも発生しています。
また、地方では、想定外の犯罪が発生する可能性ありますので、地方に出かける場合は情報収集に努めると共に、到着してからも常時情報の収集に努めてください。
(1)殺人事件
旅行中の外国人ツアー客を狙った殺人事件や外国人住居に侵入した窃盗犯を見つけた居住者が、犯人にナイフで刺されるといった事案が発生しています。
また、市内においては、エチオピア人同士での殺人事件も発生しており、そのトラブルに巻き込まれないようにすることも必要です。
(2)強盗事件
繁華街において複数人による路上強盗の発生が見られ、夜間は特に注意が必要です。
暗闇に身を潜めていた犯人が、後ろから近づき首を絞め、気を失っている間に所持
品を強奪するケースも見られます。
また、地方の幹線道路において、単独で走行する車両をターゲットとした持凶器強盗が散見されます。
(3)窃盗事件
ア 屋外窃盗
屋外窃盗の主流は、スリ・ひったくり・置き引きで、これまでも多くの邦人旅行者や在留邦人が市内、地方を問わず被害に遭っており、その主な手口は以下のとおりです。
①スリ
市内では、ボレ・テレロード、チャーチルロード、マルカート、ピアッサ地区で発生しており、バザー会場や飲食店等の混雑する施設での携帯電話や財布の窃盗が多く見られます。
バスの中でのスリは市内、地方を問わずに発生しています。
最近のスリの特徴的手口として、子供数人が商売を装い、木箱を体に当ててきてその間に木箱の下からポケットの財布を抜き取る。また、乗り合いバスにおいて「ドアを押さえておいてくれ。」等頼んで注意を引き、その間にカバンから財布を抜き取る等の例があります。
②ひったくり
市内において複数名による組織的なひったくりが発生しています。ひったくりは日時、場所を問わず発生しています。また、車両を使用したひったくりも散見されます。
③その他の屋外窃盗(置き引き等)
空港・ホテル等で日本語を話しながら近づき、偽の身分証明を示すなどして、観光案内を行い、その間に預かったカバンから金品を盗む事案。
また、国内場所を問わず、目を離した隙にカバンを窃取される事案。
イ 屋内窃盗
エチオピア国内では、裕福な外国人居住者宅を狙った侵入窃盗が発生しています。また複数人による組織的なの窃盗団の犯行がしばしば報告されています。
① 電気メーターの業者等を装っての窃盗
電気や水道のメーター修理あるいは点検を装い、居住者宅に侵入し、居住者の目が離れた隙に金品を窃取する事案
② 家の家政婦や警備員と共謀しての窃盗
使用人とガードマンが手を組み、居住者の留守中に自宅の金品を窃取するといった事案。
③ ホテルの部屋における窃盗
ホテルの室内において、ホテル関係者が旅行者の外出を見計らって部屋に侵入し、貴重品等を窃取するといった事案。
(4)詐欺
① 「コーヒーセレモニー」等の紹介によるもの
片言の日本語(又は英語)で近付き、「エチオピア独特のコーヒーセレモニーを見せる。」「おいしくて安いエチオピア料理の店がある」との口実の下に民家やレストラン等に招き、飲食物を提供した後、法外な料金を請求をする事件。
最近は、法外な金額を請求されトラブルになったところに仲介役が現れ、相場より高い金額を旅行者に払わせトラブルを解決するものの、この仲介役が「もっといい店がある」と誘い、更に法外な金額を請求する組織的な犯行も見られます。
② その場の会話に合わせての詐欺
「現地の日本大使館、JICA、各種ボランティア団体の者を知っている」と架空あるいは現存する日本人の名前を出し、安心させた上で商品を売りつけたり、寄付金名下に現金を詐取する事件。
③ 虚偽の車両故障等の告知に関するもの
日本人の運転する車に対して、複数人のエチオピア人が乗る車が近づき併走または追い越し、自車に対し故障していると身振り(声をかけ)し車を止め「よいガレージを紹介してあげる」といってガレージに連れて行き店主と共謀し金を搾取、または車内の貴重品を窃取する事件。
(5)誘拐事件
日本人を含む外国人は、反政府過激組織から狙われ易いことを自覚しなければなりません。当地では、過去に国境近くで邦人に対する拉致事件が発生しており、国境付近では外国人、エチオピア人を問わず誘拐事案が発生しています。
3 一般的留意事項
(1)目立たないようにする
・ 服装、行動は目立たないようにし、マンネリズム(習慣的行動)を避ける。
・ 現地の環境をよく理解し、状況に応じて溶け込む努力をする。
・ 人混みや雑踏を避け、大衆が集まる場所への立ち寄りは極力避ける。
・ 集会及びデモが行われている地域へは近寄らない。
(2)賊に隙を見せない
・ 単独での外出や運動を避ける。毎日同一時間帯及び場所での運動、あるいは人気のない裏道での運動は避ける。
・ 身近な人に、何処へ行くのか、何をするのか、何時に戻るかを伝えておく。
・ 常に連絡ができる手段を確保しておく。
(3)常に警戒する
・ 怪しい人、物、場所に対しては、常に警戒を払う。
・ 公衆の場で個人情報を伝達しない。
・ 徒歩・車両等で移動中、尾行されていると感じた場合、直ちに安全な場所(警察署、ガソリンスタンド等人が集まっている場所)へ避難する。
4 住宅及び家族の安全対策
家族全員が各自の安全を確保するためには、常日頃から犯罪に対する備えをしておくことが重要です。家族全員が非常時にどのような行動をとるかの意思確認を徹底して下さい。それらがあらゆる犯罪行為から身を守る手助けとなります。
(1)住宅
・ 住居の設定については、同僚やセキュリティ担当等当地事情に詳しい者に話をよく聞いたうえで、安全な地区に設定する。
・ 自宅の鍵を必要以上に保持せず、紛失或いは盗難にあった場合、或いは前住人の後に入居した場合は全ての鍵を取り替える。
・ 在宅中でも施錠を行う。
・ 名前が書かれてある物は、必ず細かく裁断あるいはそれらが読みとれないように措置して廃棄する。
・ 電気や水道検針等パブリックワーカーにも用心する。また、見知らぬ人は、容易に自宅内に入れないということを家族及びガードマンや使用人にも徹底しておく。
(2)家族
・ 非常時における警察、親の職場あるいは知人への連絡方法を教えておく。また、緊急時の行動についても確認しておく。
・ 子供の所在地については、常時把握し確実に連絡が取れるようにしておく。
・ 治安に関する情報については、家族内で常に最新のものを共有しておく。
・ 夫人が長期間単身になる場合は、知人の夫人同士でまめに連絡を取り合うなどして緊急時や非常時の対応についても事前に確認しておく。
(3)自宅を離れる場合
・ 鍵は必ず自分で所持し、警備員や使用人には原則渡さない。
・ 防犯灯等最低限必要なものは、常に点灯しておく。
・ 長期間の場合は、信頼できる友人に家を留守にすることを知らせておく。
・ 車両の鍵は確実に保管し、走行メーターはチェックしておく。
(4)電話関係
・ 電話がかかってきた場合、間違い電話で相手から名前や電話番号を確認された場合でも不用意に答えない。
・ 誘拐や脅迫の電話があった場合は録音等を実施し、すぐに大使館に連絡する。
(5)怪しいと感じる郵便物及び小包などに対する対策
・ 当地においては、郵便制度がなく、多くの郵便物及び小包は会社や事務所の私書
箱を通じたものになります。郵便物を受理する際は、必要に応じに会社のセキュリティ担当を活用し、事故の防止に努める必要があります。
また、上記理由から自宅に直接届けられることは稀有であることから、身に覚えのない小包等が自宅に直接届いた場合は十分注意する必要があります。
○ 対応
・ 絶対に触ったり動かしたり水分に接したりさせない。
・ 梱包テープ、紐及びその他ラッピング資材を決して裁断したりしない。
・ 振ったり、動かしたり、開封しない。また、臭いを嗅がない。
・ ビニール袋等の適当な容器がない場合には、衣服、紙、ゴミ箱等手近な物を上から被せ覆う。
・ 不審な郵便物に触れた場合は、直ちに石けんと水でよく手を洗う。
5 外出時の安全対策
(1)地上交通機関利用時
当地では、公共バス、乗り合いバスを利用する際は十分注意するようにお知らせしていますが、その必要がある場合には下記のような警戒が必要です。
・ できる限りグループ行動を行う。
・ 乗り合いバス等を利用する場合には、所持品の管理に十分配意する。
・ 乗り合いバス、タクシーを使用する際は、予め料金を確認してから乗車する。
・ 旅行や出張等で長距離バスを使用する際は、休憩地等でのスケジュールをよく確認し、所持品は常に管理下に置いておく。
(2)自家用車両使用時
自家用車両を使用する際は次のようなことを注意してください。
・ 走行中は窓を完全に閉めてドアをロックする。
・ エチオピア国内の運転マナーを十分に理解し、無理な運転は避ける。
・ ドライバーを雇用している場合は、勤務前に車両の点検を確実行わせるとともに勤務中は車両から離れないように指示しておく。
・ 隔離された道路、暗い裏通りは極力避ける。
(3)空港利用時
・ 空港では特別警戒態勢を敷く場合も多く、車両の立ち入りができない場合もあるので、事前に空港の警備体制等について情報を得るように努めてください。
・ 航空会社によっては、突然のキャンセル、飛行便の変更等があるので、直前に再度スケジュールを確認してください。
・ 持ち込み禁止物品や免税の範囲等については、予め確認しておき、通関の際のトラブルを避けるようにしましょう。
・ 空港内においても窃盗事件等の発生が散見されることから、自分が携行する荷物は絶対手放さないことが大事です。
・ 絶対に他人から荷物を預からないでください。
(麻薬の運び屋にされてしまいます。)
6 犯罪別具体的注意事項
基本的に犯罪に対する注意事項は日本と一緒ですが、ここでは、エチオピアで多い犯罪に対しての対策をお知らせします。
(1)スリ、ひったくり、置き引き対策
① 警戒心を持つこと
常に警戒している人間には近づきがたいものです。一方、携帯電話の通話中や何かに気をとられている時は、スリやひったくりを行う者にとって絶好の対象となります。携帯電話を使用する場合は周囲の状況に注意し、場所を選んで通話することも考えましょう。
② 大切なもの、貴重品をポケットに無造作に入れておかないこと。
エチオピアでは、日本人は富裕層と見られており、犯罪者達は常に我々を見ていることを認識してください。犯罪者は常にポケットやカバンを注視しており、貴重品の所持がわかった場合は、犯罪を敢行できる状態になるまでずっと後ろをついてくることもあります。
③ 混雑する場所での注意
外国人が多く集まるバザー会場や外国人がよく立ち寄るレストラン等は被害場所となりやすい傾向があります。犯罪者は客を装い会場や屋内に入り、我々の目が離れた時に金品を抜き取ったりします。バッグのチャックを開けている場合は被害に遭う確率が高くなりますので、特に人が集まる場所では所持品の管理を徹底してください。
(2)屋内侵入窃盗対策
① 家屋周囲
・ 外周の防犯灯は、侵入者の「見られる」心理をつく極めて効果的なものです。
犯人が時間待ちをしたり、下見をしたりしやすい暗い箇所をなくすことが必要です。
・ 塀の外側に接している電柱、樹木、ゴミ箱等犯人が侵入の際の踏み台になるも
のは置かないようにしてください。また、ガードマンまかせにせず、自らも異常の有無を確認しましょう。
・ 外周の塀の材質はコンクリート等強固なもので、家の中が見えないよう、ある程度の高さが必要です。また、塀の上に鉄条網を設置するようにしましょう。
・ 門扉は、外から中が見渡せないような構造で、施錠可能であること。また、金属製の強固な、高いものが望まれます。加えて門扉あるいは門扉横の塀にのぞき穴を設け、来訪者のチェックができるようにしましょう。
・ 窓には頑丈な金属製のグリルあるいは、シャッターがあることが望まれます。
②警備員の活用
警備員の存在は、防犯上大変有益です。基本的には門扉のところで勤務させ、家屋の外周を時々巡回させるなど異常箇所をチェックさせることも必要です。
また、警備員を付けているから「大丈夫だ」と思わず、時々、勤務状況を監督する必要があります。
③避難場所
侵入を受けた場合、警察が来るまでの間、少しでも時間稼ぎが出来るよう避難(籠城)場所(主寝室等)を確保しておくことが必要です。
その場合は、扉が強固で二重ロックあるいは頑丈なチェーン等の設備がある部屋を設定することが重要です。また、電話・無線等の連絡手段、外部に異常を知らせる警報装置、強力な懐中電灯等を常備しておく必要があります。
④音、照明、センサー等の配備
犯人が侵入した際に有効な手段は、音、回転灯、センサー灯です。音に至っては就寝中の近隣者が目を覚ます程度は必要です。
拡声器は警備小屋にも備え付けておきましょう。
⑤ 犬の飼育
エチオピア人は、犬を怖がるとも言われており、番犬は警備上大変有効です。
(3)強盗(銃器使用等)対策
基本的には他の犯罪対策と同様ですが、一歩間違えれば死に至る危険性もあります。万が一被害にあった場合は下記の点を厳守してください。
○ 基本的には相手の指示に従うことです。自分の所持品に固執していると攻撃を受ける可能性があります。また、反撃できる機会があっても絶対に抵抗せず、相手が立ち去ってから安全な場所に移動をして、助けを求めてください。
○ 背広の内ポケットに手を入れようとすると相手は銃で反撃されると思い、いきなり撃たれる危険性が高いので注意しましょう。
○ 財布とは別にポケットに少額の金を入れておくと、それを奪い立ち去る可能性もあります。
(4)詐欺対策
押しかけ的にガイドや店舗の紹介を行い、高額な料金を請求するトラブルは後を絶ちません。毅然な態度で断ることが一番です。また、国内では市内、地方等場所を問わず発生している犯罪です。
(5)誘拐対策
誘拐予防のためには、自らの身は自ら守る「セルフ・ディフェンス」の精神を持ち、誘拐対策(通勤時の安全対策、住居警備強化、日常行動上の注意等の総合的な対策)をとることが重要です。
○情報の収集
誘拐対策をとるには、日頃より最新の誘拐関連情報を継続的に入手し、誘拐の脅威を気にかけておく必要があります。特に自分の家族を守るための情報は、他人任せにせず、自ら収集する努力が必要です。
情報の入手先としては、新聞やテレビ、勤務先、取引先、現地警察、在留邦人、隣人等が活用出来ます。
また、在エチオピア日本国大使館や海外安全ホームページ等で関連情報を提供出来るようになっています。
○兆候の発見
誘拐の兆候の発見が誘拐防止の鍵となります。
誘拐犯は、まず狙いをつけた人物につき、勤務先、家族、会社案内等の公表資料から、本人の写真、車のナンバー、出勤・退社時間等できるだけ多くの情報を集めます。
次に、その人物が誘拐に備えてどんな安全対策をとっているかを観察し、「いつ、どこで、どんな方法で誘拐するのが一番確実かを探るため念を入れて見張り、尾行を行います。
このため、誘拐には必ず兆候があります。それを発見するためには、職場や家庭の周辺、移動時に、少しでも普段と違う点がないか注意を怠らないことが必要です。見張りを見破るためには、身に付いた習性のようにほとんど無意識に用心できるようになることが大切であり、日頃から自分の周辺のちょっとした変化を見分けるセンスを磨くことが肝心です。事実、殆どの誘拐事件では、事件発生前に何らかの予兆があっ
たことが明らかとなっています。
○家族
誘拐防止のためには、家族全員が基本的な用心を払う必要があります。家族全員にどんな危険があるか理解させ、基本的な用心すべき事項について教え、日常の行動を注意させます。
ア 子供
常日頃から安全対策についてよく話して聞かせることが極めて重要です。
不審な人物について行かないこと、特に遊び場所等について厳しく指導します。自宅では、来訪者に対する警戒、電話対応時の注意、両親がいない時の注意を教え込みます。また、助けを呼ぶのに最低限必要な連絡先と現地語を覚えさせます。
イ 主婦
外出の際には、服装面で目立たないように注意し、一定のパターンを作らないように、買い物や友人訪問等の順路に変化をつけるようにします。また、自宅でも夫の出勤時や帰宅時には、自宅周辺に不審者がいないか注意を払うことが望まれます。自分が家庭での安全確保の要であることを十分に自覚し、基本的な安全対策を出来るよう家族、使用人をしっかり指導します。
○車で移動する場合の注意事項
誘拐の脅威が認められる状況(国境付近での移動等)では、車で移動する時も十分な誘拐対策をとっておく必要があります。
ア 経路
常に経路は2つ以上確保します。経路を選ぶに当たっては、実際に走った人の話などを聞き、一方通行路や人通りの少ない脇道は避け、交通量の多い経路を選び、日時等状況に応じて使い分けることが大事です。ます。選定した経路の道筋や警察署等緊急時の避難場所を良く覚えておき、運転手にも教えます。
イ 乗降時
車の乗り降りの時と、車庫から幹線道路までの間が最も危険で、狙われやすいので、自宅を出る前には、不審な車や人が周囲にいないか注意し、帰宅時も自宅周辺の安全を十分確認してから、車庫に入れるようにします。
ウ 運転時
走行中は全てのドアをロックし、窓は閉めるか、わずかの隙間だけあけるようにします。これによって、例えば、交差点で停車した際、容易にドアを開けられて外へ引きずり出されるのを防ぐことが出来ます。
地方や治安の悪いところでは、夜間に車に乗るのは避け、どうしても夜間又は長距離を走らなければならない場合は、できるだけ複数の車で行動するようにし ましょう。
更にバックミラーで追跡車の有無をチェックし、おかしいと思ったら時々方向を変えたり、停車して安全を確認することも必要です。
いざという時に適切な行動がとれるよう、車の前後左右に十分な車間をとりましょう。
(6)その他防犯対策
使用人との関係
○ 雇用に当たっては、前任者からの引継ぎ者か信頼出来る人からの紹介が良いでしょう。その際は、給与や雇用条件のトラブルを防ぐため、新たに、契約書を作成しておくことが望まれます。また、契約書には、例えば3回文書警告で退職になるといった項目を入れておきましょう。
○ 当地の使用人(ドライバーやマミティ)は良い収入の仕事があれば、突然転職し自宅に来なくなるといった事例が多く見受けられ、その際、自宅や家の鍵を渡していれば、鍵の取り替え等が必要になります。鍵類については、原則として渡しておかないことをお薦めします。
近隣者との関係
近隣者との関係を良くし、近所付き合いを緊密にしておきましょう。
特に自宅の警備員と近所の警備員とが懇意にしていると、いざというとき有効です。
7 交通事情と交通事故対策
当地では、年々自動車が増えています。交通ルールを守らない者だけでなく、歩行者はどこからでも道路を横断してきます。交通標識・表示、信号機等の交通環境は、未整備の場所が多く、路上に材土や石等の落下物が有る場合もあり、市内のいたる場所で交通事故が発生しています。
自らが事故を起こさなくても、被害者になる可能性もあります。事故防止とともに防衛運転の励行をお願いします。
(1)一般的交通事情
ア 交通事情
午前8時前後、午後5~7時ころの市内は至る所ラッシュです。
無理な追い越し、割り込みは日常茶飯事です。
イ 道路事情
道路が常に良好な状態に保たれているのは、一部の区間です。他の道路については、でこぼこ道や穴が開いている状態です。夜間の運転、昼間の運転でもスピードを出しすぎると、急に目の前が大穴ということもあり得ます。
ウ 運転マナー
急な車線変更、無理な追い越し、急停車、携帯電話を使用しながらの運転等は日常茶飯事です。特にタクシー、乗り合いバスの車両は無謀運転が多い傾向にあります。
エ 歩行者
道路をどこでも横断し、急に飛び出すこともあります。特に、夜間は、街灯が少ないこともあり、発見が遅くなりがちです。
オ 牛、羊
牛、羊、ロバは首都でも道路を横断しています。これらに損傷を与えた場合、賠償金を要求されますので注意して下さい。
カ 交通違反
当地でも、日本と同様に飲酒運転は禁じられています。また、シートベルトの不着用や携帯電話をしながら運転していると検挙されます。
(2) 事故対策
交通事故発生後の措置
○ 不幸にも、交通事故を起こし、負傷者が発生した場合には、衝突地点を確認して負傷者を病院に運びましょう。
○ 保険を利用する場合、必ず警察の見分が必要です。警察に届ける場合は、事故状態を保持する必要があります。
○ 現場を一旦離脱する場合には、可能であれば、事故の状況を撮影するなどし、相手の名前・住所・連絡方法・自動車ナンバーを確認しておいて下さい。
○ 重大人身事故を起こし、野次馬が集まり、身の危険を感じた場合は、一旦現場を離れ、最寄りのガソリンスタンド、職場、自宅などから警察に通報すると共に、大使館に連絡して下さい。
8 緊急時の連絡先
(1)警察
ア アジスAddis アベバAbaba 警察Police :991、011-6180556(オペレータ)
011―6610111(インフォメーション)
イ アジスAddis アベバAbaba 交通Traffic警察Police :945、011-6628086
(2)消防
アジスAddis アベバAbaba 消防Fire Brigade :939、011-1567004
救急 :907,011―5150608
(3)病 院
ア MCM病院(韓国人医師常勤)
011―6292963
総合病院、整形外科
イ HAYAT HOSPITAL(私立:エチオピア)
011-6614250
内科、外科、小児科、産婦人科
ウ Swedish Clinic(スウェーデン系)
011-3710768(事前連絡必要)
家庭医(全般)、産婦人科、予防接種可能
エ BLACK LION HOSPITAL(国立:エチオピア)
011―5511211・5159694
内科、外科、整形外科、形成外科、小児科、産婦人科
(4)大使館(08:30~17:15)
011-5511088
(5)大使館夜間・休日連絡先
領事携帯(A) 091―1200721
領事携帯(B) 091―1216773
Ⅲ 緊急事態対処マニュアル
1 平素の心構え・準備
連絡体制の整備
○ 在留邦人の方は在留届の提出を励行して下さい。また、記載事項に変更が生じた場合及び帰国の際には、その旨を電話又はメールにて大使館に必ず連絡して下さい。
○ 緊急事態はいつ起きるか分かりません。緊急事態に備え、家族間、職場内での連絡方法につき予め決めておいて下さい。また、お互いの所在を平素より明確にするようにして下さい。
○ 緊急事態発生の際は、当大使館から電話連絡及びSMS、Eメールを通じて情報を提供すると共に必要な連絡を行いますが、電話回線等が使用出来なくなる場合には、FM放送機により必要な連絡を行うことがありますので、FM受信可能なラジオ(デジタルチューナー)を備えておいて下さい。当大使館からのFM放送の周波数は、92.1MHzです。(H24.10変更しました)
○ 緊急事態発生時の安否確認及び緊急退避ため当大使館では、電話連絡及びEメールを使用しますが、常日頃から各自連絡先を確認し、まさかのときに備えておいて下さい。
2 一時避難場所及び緊急時避難先
(1)一時避難場所の検討
内乱等による戦闘、騒乱に巻き込まれる可能性があるときは、常に周囲の状況に注意を払い、情報を収集し危険な場所に近付かないように心掛けて下さい。
巻き込まれそうになった場合のとりあえずの避難場所について、常日頃から頭に入れておくことが重要であり、自分がどこにいるのか(勤務先、通勤途上、自宅等)自分がどのような事態にまきこまれそうか等いくつかのケースを予め想定して各自の一時避難場所を検討しておいて下さい(外部との連絡が可能な場所が望ましい)。
(2)緊急時避難先
緊急事態発生時の状況に応じて当大使館から緊急時避難先への集結をお願いすることがあります。当大使館が指定する緊急時避難先は「大使公邸」です。
(3)緊急事態における携行品等、非常用物資の準備
ア 旅券、現金(US$:商業機の航空券購入費として現金が必要となるので、常時2,000$~3,000$位の現金を用意しておいて下さい。)や貴金属など貴重品等最低限必要なものは、直ちに持ち出せるよう予め保管しておいてください。
イ 緊急時には一定期間自宅での待機をお願いすることもありますので、飲料水、非常用食料、燃料、医薬品等を最低限10日分程度準備しておいてください。
ウ 準備しておくべきチェックリスト(参考)は別紙のとおりです。
3 緊急時の行動
(1)心構え
緊急事態の発生、または発生するおそれのある場合に、当大使館は邦人保護に万全を期すため、所要の情報収集、情勢判断及び対策の策定を行い、緊急連絡を通じ随時通報いたします。平静を保ち、流言飛語に惑わされたり、群集心理に巻き込まれることのないよう注意してください。
(2)情勢の把握
ア 当大使館からのFM放送連絡は、電話利用が不可能な場合に随時放送いたしますので、FM放送の受信が常に受けられるようにしてください。
放送時間帯は、午前9時、午後12時、午後3時、午後6時からそれぞれ15分です。
イ 緊急事態発生の際には、現地、海外報道、衛星放送テレビ等の視聴による情報収集についても各自心掛けてください。
(3)当大使館
ア 現場の状況のうち通報する必要があると思われるものは、随時、当館に通報して下さい。その他の在留邦人の方への貴重な情報となります。
イ 自分や自分の家族または他の邦人の生命・身体・財産に危害が及ぶか、または及ぶおそれがあるときは、迅速かつ具体的にその状況を当大使館に連絡して下さい。
ウ 緊急事態発生の際は、お互いに助け合って対応にあたることも必要になります。
そのため、当大使館から在留邦人の方々にも種々の助力をお願いすることもありますので御協力ください。
(4)国外への退避
ア 事態が悪化し、各自または派遣先の組織等の判断により、あるいは当館からの勧めにより自発的に帰国、第三国へ退避する場合は、その旨当館へ通報してください(当館への連絡が困難である場合は、日本の外務省海外邦人安全課等へ通報するよう努力してください)。【外務省海外邦人安全課:+81-3-5501-8160】
イ 「退避を勧告します」(または、「渡航の延期をおすすめします」(退避に関する情報を含む))が発出された場合には、一般商業便が運行している間に、それを利用し
て可能な限り早急に国外へ退避してください。なお、一般商業便の運行が停止した場合や、あるいは座席の確保が著しく困難となった場合等には、チャーター便(これらの利用にあたっては、通常片道エコノミー正規料金の支払いが必要となります。)を利用して退避することが必要となってくることもあり得ますので、当館からの情報提供・連絡内容を吟味して下さい。
ウ 事態が切迫し、当大使館から退避または避難のための集結の連絡を受けた場合には、緊急時避難先である「大使公邸」に集結してください。その際、しばらくの間同避難先で待機する必要がある場合も想定されますので、可能であれば非常用物資を持参するようお願いします。また、緊急時には自分及び家族の生命、身体の安全を第一に考え、その他の携行荷物は必要最小限にするようお願いします。
Ⅳ おわりに
実際に海外生活を始めると、この「手引き」で紹介した以外の想定外のトラブルに遭遇することもあると思います。「自分の身は自分で守る」という基本を忘れずに行動すれば、多くの危険は回避できると思います。困った時に最も頼りになるのは「自分自身」ということを常に思い返してください。
緊急事態に備えてのチェックリスト(参考)
○ 旅券
旅券については、常時6ヶ月以上の残存有効期間があることを確認しておいてください(6ヶ月以下の場合には当館で更新の手続きをしてください)。
また、当地滞在査証の残存有効期間も確認し、余裕を持って更新しておいてください。
○ 現金(US$)、貴重品、クレジットカード
これらのものは旅券同様すぐに持ち出せるよう(盗難に留意しつつ)保管しておいてください。現金は、家族全員が10日間程度生活できる程度は最低限用意しておいてください。また、所有している方は、クレジットカードも用意してください。
○ 車の整備
・ 車をお持ちの方は、常に整備しておくよう心掛けてください。
・ 燃料は常に十分(ゲージが半分になったら必ず給油する)入れておいてください。
・ 車内には、常時、懐中電灯、ティッシュ等を備えておいてください。
・ 車を持っていない人は、近くに住む車を持っている人と平素から連絡をとり、必要な場合に同乗できるように相談しておいてください。
○ 携行品の準備
避難場所への移動を必要とする事態に備え、次の携行品を備えておいて、すぐに持ち出せるようにしておいてください。
・ 衣類、着替え(長袖、長ズボンが賢明。行動に便利で、人目を引くような華美なものでないもの)
・ 履物(行動に便利で靴底の厚い頑丈なもの)
・ 洗面用具(タオル、歯磨きセット等)
・ 非常用食料等
しばらく自宅待機をする場合も想定して、米、調味料、缶詰類、インスタント食品、粉ミルク等の保存食及びミネラルウォーターを家族全員で10日間程度生活できる量を準備しておいてください。自宅から他の場所へ避難する際にはこれら非常食、飲料水を携行するようにしてください。
・ 医薬品
家族用常備薬の他、常用薬、外傷薬、消毒用石鹸、衛生綿、包帯等
・ ラジオ
NHK海外放送(ラジオ・ジャパン)、BBC、VOA等の短波放送が受信できる電
池使用のもの(電池の予備も忘れないようにしてください)。
・ その他
懐中電灯、予備の電池、ライター、ロウソク、マッチ、ナイフ、缶切り、栓抜き、紙製食器、割り箸、固形燃料、簡単な炊事用具、可能ならヘルメット、防災頭巾(応急的に椅子に敷くクッションでも可)