伊藤大使御挨拶
令和2年11月4日
10月22日、アムハラ語で「新しい花」を意味するアディスアベバに、新しい在エチオピア日本国大使として着任いたしました。これまではアジアや北米、マルチ外交の経験が長かった私にとって、エチオピアのみならずアフリカでの勤務は初めてであり、私のキャリアにとってもアフリカに関する「新しい花」を咲かせる時が来たと感じています。
エチオピアにつき学べば学ぶほど、日本との協力の持つ可能性の素晴らしさへの期待が高まります。内陸国で、若者が多く人口増加が続き、さらなる経済発展を目指しているエチオピアと、島国で、少子高齢化が進み、海外でのパートナーを得て発展の継続を目指す先進国の日本とは対照的ではありますが、外国勢力による植民地化を免れ、独自の長い歴史と文化を有しているという点では共通の経験を有しています。約1億1000万人の人口を抱え、地域の大国であり、日本との協力に大きな可能性のあるエチオピアに大使として赴任するにあたり、大きな希望と責任を感じずにはいられません。
日本とエチオピアは1930年に修好通商条約を締結しており、今年はその90周年に当たります。第二次世界大戦終了後も、エチオピアとは1955年に国交を再開し、日本が戦後初の国賓を1956年に受け入れたのもエチオピアからでした。その後、エチオピアから日本への国費留学生の受け入れや、1972年のJICA事務所開設以来実施してきた日本人専門家の派遣やエチオピアから日本への研修生受入等を通じ、日本の強みである人材育成分野でエチオピアにおいて長年の貢献をしてきました。最近ではABEイニシアティブやSDGsグローバルリーダープログラムも加わり、未来のエチオピアのリーダー達に日本で学び研修する機会を提供し続けています。また、日本で生まれた「KAIZEN」の概念はエチオピアで根付き、エチオピアからアフリカ全体に広がりつつあると承知しています。こうした事例が示すように、日本にとってエチオピアはアフリカの中で最も古くからの友人であり、エチオピアにとっての日本もまた、アジアで最も古い友人なのです。
今後、日本とエチオピアとの二国間関係のさらなる強化に際しては、エチオピアでの産業育成や農村開発、質の高いインフラ事業や教育・保健分野での協力など、経済協力事業の着実な実施を推進していくのが私の重要な責務であると考えています。さらに、エチオピアで活動する、あるいはエチオピアとビジネスをしたい日系企業の活動支援も重要です。日本企業の有する製造業やICTをはじめ科学技術分野での技術やノウハウを、エチオピアの有する大きな市場やSDGs達成に向けた諸課題への対応で活用することは、双方にとって利益をもたらすと確信しています。また、明治維新以降や第二次大戦以降、資源を有さない貧しい国であった日本が独自の文化や伝統を守りながらも経済成長を達成した経験を共有することは、エチオピア自身の今後の経済発展にも有益な示唆を与えられるはずです。
経済成長と併せて、SDGsの掲げる「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現も重要です。残念ながら、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、エチオピア政府がこれまで精力的に取り組んできた貧困削減努力への影響も見込まれていますが,日本は引き続き国際機関とも連携し、エチオピアにおける誰一人取り残さない社会の実現に貢献していきます。
政治分野では、民主主義や基本的人権の尊重、法の支配等の価値観を共有するエチオピアの政治的リーダーや有識者との人脈構築と意見交換を積極的に行ない、地域及び国際社会の平和と安定に向けた対話を進めていく所存です。
広報文化の分野でも、日本のプレゼンスを高めるべく積極的に日本のメッセージを多くのエチオピアの人々に送ると共に、日本の魅力を一般のエチオピアの人々に幅広く知ってもらうべく、日本の持つ様々なソフトパワーの紹介・活用を進めたいと思います。来年は東京オリンピック・パラリンピックも開催予定です。1964年の東京オリンピックでは、マラソン競技で「走る哲学者」アベベ・ビキラ氏の金メダル獲得が日本でも熱狂的に歓迎されました。また現在、エチオピアからはマラソン競技で世界チャンピオンの経験も有するアベベ・メコネン氏が日本の茨城県笠間市に陸上コーチとして招聘され、若者たちの指導に当たっています。来年の東京での大会が、再びスポーツを通じて両国の絆が深まる機会になることを強く願っています。
在留邦人の皆様方の安全を守るための支援と情報収集も、大使館の極めて重要な仕事です。特に現在は新型コロナウイルスの流行の下、不安な状況が続いていますが、日本人会をはじめ関係者の方々と協力し、知恵を出し合いながら、在留邦人の皆様の安全を守る任務の先頭に立って取り組む所存です。
新型コロナウイルスの流行により、従来の仕事の仕方を見直して新たな方法を取らざるを得ない事態が生じており、外交活動もその例外ではありません。当面、着任レセプションなどの大型行事は、現在のエチオピアの状況では実施は容易ではありません。しかし、「意のあるところに道は通ず」と信じ、外交目標のために何をすべきか、新しい手法で取り組んでいきたいと思います。日エチオピア関係の新たな高みに咲く「新しい花」を一つでも多く開花させられるように全力を尽くしていく所存ですので、皆様方からの御支援・御鞭撻をどうぞよろしくお願いします。
エチオピアにつき学べば学ぶほど、日本との協力の持つ可能性の素晴らしさへの期待が高まります。内陸国で、若者が多く人口増加が続き、さらなる経済発展を目指しているエチオピアと、島国で、少子高齢化が進み、海外でのパートナーを得て発展の継続を目指す先進国の日本とは対照的ではありますが、外国勢力による植民地化を免れ、独自の長い歴史と文化を有しているという点では共通の経験を有しています。約1億1000万人の人口を抱え、地域の大国であり、日本との協力に大きな可能性のあるエチオピアに大使として赴任するにあたり、大きな希望と責任を感じずにはいられません。
日本とエチオピアは1930年に修好通商条約を締結しており、今年はその90周年に当たります。第二次世界大戦終了後も、エチオピアとは1955年に国交を再開し、日本が戦後初の国賓を1956年に受け入れたのもエチオピアからでした。その後、エチオピアから日本への国費留学生の受け入れや、1972年のJICA事務所開設以来実施してきた日本人専門家の派遣やエチオピアから日本への研修生受入等を通じ、日本の強みである人材育成分野でエチオピアにおいて長年の貢献をしてきました。最近ではABEイニシアティブやSDGsグローバルリーダープログラムも加わり、未来のエチオピアのリーダー達に日本で学び研修する機会を提供し続けています。また、日本で生まれた「KAIZEN」の概念はエチオピアで根付き、エチオピアからアフリカ全体に広がりつつあると承知しています。こうした事例が示すように、日本にとってエチオピアはアフリカの中で最も古くからの友人であり、エチオピアにとっての日本もまた、アジアで最も古い友人なのです。
今後、日本とエチオピアとの二国間関係のさらなる強化に際しては、エチオピアでの産業育成や農村開発、質の高いインフラ事業や教育・保健分野での協力など、経済協力事業の着実な実施を推進していくのが私の重要な責務であると考えています。さらに、エチオピアで活動する、あるいはエチオピアとビジネスをしたい日系企業の活動支援も重要です。日本企業の有する製造業やICTをはじめ科学技術分野での技術やノウハウを、エチオピアの有する大きな市場やSDGs達成に向けた諸課題への対応で活用することは、双方にとって利益をもたらすと確信しています。また、明治維新以降や第二次大戦以降、資源を有さない貧しい国であった日本が独自の文化や伝統を守りながらも経済成長を達成した経験を共有することは、エチオピア自身の今後の経済発展にも有益な示唆を与えられるはずです。
経済成長と併せて、SDGsの掲げる「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現も重要です。残念ながら、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、エチオピア政府がこれまで精力的に取り組んできた貧困削減努力への影響も見込まれていますが,日本は引き続き国際機関とも連携し、エチオピアにおける誰一人取り残さない社会の実現に貢献していきます。
政治分野では、民主主義や基本的人権の尊重、法の支配等の価値観を共有するエチオピアの政治的リーダーや有識者との人脈構築と意見交換を積極的に行ない、地域及び国際社会の平和と安定に向けた対話を進めていく所存です。
広報文化の分野でも、日本のプレゼンスを高めるべく積極的に日本のメッセージを多くのエチオピアの人々に送ると共に、日本の魅力を一般のエチオピアの人々に幅広く知ってもらうべく、日本の持つ様々なソフトパワーの紹介・活用を進めたいと思います。来年は東京オリンピック・パラリンピックも開催予定です。1964年の東京オリンピックでは、マラソン競技で「走る哲学者」アベベ・ビキラ氏の金メダル獲得が日本でも熱狂的に歓迎されました。また現在、エチオピアからはマラソン競技で世界チャンピオンの経験も有するアベベ・メコネン氏が日本の茨城県笠間市に陸上コーチとして招聘され、若者たちの指導に当たっています。来年の東京での大会が、再びスポーツを通じて両国の絆が深まる機会になることを強く願っています。
在留邦人の皆様方の安全を守るための支援と情報収集も、大使館の極めて重要な仕事です。特に現在は新型コロナウイルスの流行の下、不安な状況が続いていますが、日本人会をはじめ関係者の方々と協力し、知恵を出し合いながら、在留邦人の皆様の安全を守る任務の先頭に立って取り組む所存です。
新型コロナウイルスの流行により、従来の仕事の仕方を見直して新たな方法を取らざるを得ない事態が生じており、外交活動もその例外ではありません。当面、着任レセプションなどの大型行事は、現在のエチオピアの状況では実施は容易ではありません。しかし、「意のあるところに道は通ず」と信じ、外交目標のために何をすべきか、新しい手法で取り組んでいきたいと思います。日エチオピア関係の新たな高みに咲く「新しい花」を一つでも多く開花させられるように全力を尽くしていく所存ですので、皆様方からの御支援・御鞭撻をどうぞよろしくお願いします。